2021/05/31
マウスにおいて、モデル抗原OVA(卵白アルブミン)を発現するメラノーマ細胞MO4を皮下あるいは腹腔内に投与し、3日後にα-GalCerを負荷した遺伝子導入ES細胞由来の樹状細胞(ES-DC)を腹腔内に投与し、生存率を観察した。α-GalCerを負荷したES-DCおよびα-GalCerを負荷していないOVA発現ES-DC(ES-DC-OVA)は、腹腔内腫瘍に対して低い効果を示していた。一方、α-GalCerを負荷したES-DC-OVAは有意差を持って生存期間を約2倍延長させる効果を示し、さらに、SLCをOVAと同時に発現するES-DCにα-GalCerを負荷したものを用いると、治療したマウスの40%が腫瘍細胞を拒絶するという効果が観察された。腫瘍特異抗原を発現させた樹状細胞にα-GalCerを負荷し生体内に投与する治療法が、腹膜播種した悪性腫瘍の治療に有効である事、SLCを腫瘍抗原と同時に発現するES-DCを治療に用いることにより、治療効果を高められることが示された。