2021/05/31
めまいの臨床検討を行う場合、対象施設によって疾患頻度に大きな違いが存在している。最近の大学病院からの報告においては難治性疾患や治癒が遷延している症例が集積していると考えられる。市中病院からの報告においては急性期や症状が強いめまい疾患が集積していると考えられる。これに対して、より一次診療としてのめまい診療の実態を反映していると考えられる耳鼻咽喉科診療所からの報告は比較的少ない。今回、耳鼻咽喉科無床診療所における良性発作性頭位めまい症(以後BPPVと略)を中心とした最近のめまい症例の特徴について検討した。具体的には、BPPVの障害部位、治療経過、再発症例およびBPPV症例に対する頭部CT検査の施行状況について検討した。BPPVの障害部位は、外側半規管型(半規管結石型)、後半規管、外側半規管型(クプラ結石型)、前半規管型の順に多かった。理学療法は、全ての障害部位のBPPVに対して有効であった。BPPVの再発率は約40%であり、経過観察および再発予防が必要であると考えた。BPPVに対して、当院受診前に一般内科クリニックを含めた前医にて必要性が低いCT検査が約50%の症例に対して行われていた。眼振所見にてBPPV診断が可能である耳鼻科医師の役割が、BPPV診療において重要であることが示唆された。