2021/05/31
手術不能とされた高齢者進行舌癌(StageⅣA)に対して少量UFT®にて寛解をえられた症例を経験した。高齢化社会における頭頸部癌治療において今後、標準療法が困難な症例の増加が予測される。今回、高齢者進行舌癌に対して寛解をえられた要因としては、低用量UFTによる腫瘍細胞障害性効果、免疫賦活効果に加え、併用した捕中益気湯® が老化による抗腫瘍免疫の低下を回復させた効果が考えられる。 またUFT®は経口5-Fuのプロドラッグであり、5-Fuと同様にセファランチン®と相互作用を示し、腫瘍のDNAの合成を長時間阻害したことが、本症例に対してUFT®の有効性を高めた理由であると考えた。このように低用量化学療法と腫瘍免疫に有効な漢方薬、UFT®の効果を高めるセファランチンを併用することで、患者の生活の質を落とすことなく、癌との共存、あるいは延命治療が行える可能性が示唆された。