2021/05/31
当科にて1998年から2005年の間に治療を行った顎下腺腫瘍33例を対象とした。良性腫瘍は17例で、多形腺腫16例、血管腫1例であった。悪性腫瘍は16例で腺様嚢胞癌5例、粘表皮癌4例、腺癌2例、多形腺腫由来癌2例、扁平上皮癌、筋上皮癌、悪性リンパ腫がそれぞれ1例であった。顎下腺腫瘍の中で悪性腫瘍の占める割合は48.5%と比較的高かった。術前に穿刺吸引細胞診を行い、正診率は、84%であった。敏感度は66.7%、特異度は100%であった。良性腫瘍に対して顎下腺摘出術を行い、再発は認めていない。癌腫に対しては摘出術と頸部郭清術行い、累積5年生存率は81.3%と比較的良好な成績であった。予防的頸部郭清の領域については肩甲舌骨筋上郭清を行うことが望ましいと考えられた。治療成績向上のためには遠隔転移に対する全身化学療法などの開発が必要と考えられた。