2021/05/31
VBIは耳鼻咽喉科診療所においては、確定診断が困難である。また治療方針も確立されていないのが現状である。このため、日本めまい平衡医学会にて作成された「めまいの診断基準化のための資料」の「病歴からの診断」に基づきVBIを診断し、重症度のスコアリング(VBIスコア)を行った。治療は、A群(ATP+塩酸ジラゼプを投与)、B群(ATP+イブジラストを投与)、C群(ATP+塩酸ジラゼプ+イブジラスト投与)に分け内服治療を行った。3群ともに初診時のVBIスコアに有意差はなく、これら3群の中では治療開始から2週後、2週後から4週後ともにVBIスコアの改善に有意差がある群と、そうでない群とが存在していたが、3群とも同スコアは改善傾向にあった。3剤を使用したC群のみは初診時から2週後、2週後から4週後ともにVBIスコアが有意に改善していた。初診時、2週後、4週後のVBIスコアおよびDHIスコアについて3群間について統計を行ったが、それぞれの群間に有意差はなかった。ただし、3剤を使用したC群のみは、DHIスコアが初診時から2週目、2週目から4週目にかけても有意な改善がないにもかかわらず、VBIに特異的症状に着目したVBIスコアが初診時から2週後、2週後から4週後ともに有意に改善していた。また初診時から4週目でのVBIスコアとDHIスコアの改善値について有意差はないものの両スコアともC群の改善値が3群の中では最も大きかった。このため3群のうちC群がVBIに対しては適した治療ではないかと考えられた。